来るぞ来るぞと言われて久しい相続税の大増税時代がついに到来しました。最新の集計では「納税者」の数が8割も増加、もはや資産家だけの問題ではなくなりました。それ以上に深刻なのが家族の間でのもめ事、「争族」の問題です。
首都圏に住む70代の高畠秋子さん(仮名)の元に税務署から一通の封書が届いたのは、夫が亡くなって6ヵ月後のことだった。開けてみると「相続税の申告等についてのご案内」と書かれた紙が入っていた。形ばかりのお悔やみの言葉の後にびっしりと書かれていたのは、相続税の申告を促す文言。
さらには別紙の「相続税の申告要否検討表」と題された記載例を見ると、事細かに相続財産の記入の仕方が載っており、丹念にそこを追っていくと最後は「相続税の申告が必要です」という文言に行き当たる。正直、「申告するのは微妙かな」と思っていた高畠さん。「きっとこれは税務署に狙われている」と不安になり、知り合いの税理士の元に駆け込んだ。
実は昨年あたりから申告が必要とみられる人に税務署がこうした文書を送り付けているという。封書の中には、持参書類まで明記して面談予約を呼び掛ける紙すら同封している税務署もある。