税の便利な知識をお伝えすることで、少しでも相続税と円満な相続のお役に立てればと思います。
ここでは、今後不定期に追加していきますので、ぜひご参考にしてください。
第13回目は「贈与の非課税特例拡充と変更」についてです。
贈与の非課税特例拡充と変更 ~相続税の便利帳 Vol.13~
Vol.13
贈与の非課税特例拡充と変更
直系尊属から住宅取得等資金贈与の課税特例は拡充され、平成22年は1,500万円、平成23年は1,000万円の非課税特例が受けられますが所得制限もあります。直系尊属の範囲も祖父母や曾父母まで、取得範囲も新築物件及び中古物件並びに増改築にも拡大されました。
緊急経済対策として平成21年6月に創設された「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の500万円非課税特例」ついて、平成22年12月31日までの贈与とされていた適用期限が平成23年12月31日まで1年間延長され、非課税枠が、平成22年については1,500万円、平成23年については1,000万円と大幅に拡張されます。
1. 1,500万円、1,000万円非課税特例については所得制限がある
平成21年6月に創設された500万円非課税特例には、受贈者の所得に制限がありませんでしたが、改正後に拡充される1,500万円及び1,000万円の非課税特例については、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の者に限定されます。
2. 平成22年については選択適用
合計所得金額が2,000万円超の方は、平成22年に住宅所得等資金贈与の1,500万円の非課税特例の適用を受けることはできませんが、平成21年に住宅取得等資金の500万円非課税特例の適用を受けていない場合には、平成22年に500万円の非課税特例の適用を受けることが可能です。
3. 父、母だけでなく祖父母等からの贈与も対象に
この非課税特例は直系尊属から住宅所得等資金贈与に適用がありますので、父母、祖父母はもちろん、曾父母からの住宅取得等資金贈与も対象となります。
一方、従来から住宅取得のための資金の贈与を受けた場合の特例として、相続時清算課税制度の住宅取得等資金贈与の特例がありますが、この特例は父母からの贈与に限られ、祖父母からの贈与は適用外です。
4. 資金贈与を受けた年の翌年3月15日までに取得して居住することが原則
贈与を受けた資金の全額について、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅の取得など次の(5)の①から④までに充て、かつ、その住宅に居住することが必要です。3月15日までに完成していない場合で一定の状態まで建築が進んでいる場合やその他の事由で居住していないときは、遅滞なく居住することが確実であると見込まれるときは適用が認められます。
5.新築、新築物件の取得、中古物件の取得及び増改築も対象に
住宅取得等資金贈与の適用は住宅の新築だけでなく、次のように新築物件の購入や既存住宅の取得や増改築についても対象となります。
①住宅用家屋の新築若しくは建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得
②前期①とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは土地の上に存する権利取得のために資金を充ててその住宅用家屋の新築をした場合又は建築後使用されたことのない住宅家屋の取得をした場合。
③既存住宅家屋の取得又は既存住宅家屋の取得とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは土地の上に存する権利の取得のために資金を充ててその既存住宅家屋の取得をした場合
④居住の用に供している住宅用の家屋について行う増改築又はその家屋について増改築とともにするその敷地の用に供されている土地若しくは土地の上に存する権利の取得ために資金を充ててそのその住宅用の家屋について増改築をした場合
(※「創意工夫で節税 税の便利帳」 平成22年05月01日16版発行より抜粋)