税の便利な知識をお伝えすることで、少しでも相続税と円満な相続のお役に立てればと思います。
ここでは、今後不定期に追加していきますので、ぜひご参考にしてください。
第32回目は「定期借家権」についてです。
定期借家権 ~相続税の便利帳 Vol.32~
定期借家権は文字通り、一定期間「家」を貸すものであり、定めた契約期間が来ると必ず建物を返してもらえる方式です。
1.定期借家権とは
平成12年3月1日から施工された新しい法律で
- ①契約期間が来ると必ず建物を返してもらえます。
- ②従来の借家権のように「正当事由」や「法定更新」がないため立退料はいりません。
- ③家賃も契約書であらかじめ決めることができ、そのことで争いになりません。
2.定期借家権の法律内容は
- ①既存契約にさかのぼっての適用はありません。
- ②契約期間が満了すれば契約は終了します。
- ③期間の設定や使用目的は自由です。
- ④居住用については、転勤・療養など、やむを得ない事情がある場合は、借り主側に中途解約権があります。
- ⑤世間相場の上下に関係なく、契約の中で家賃増減請求を出来ないとすることも可能です。
- ⑥建物譲渡特約付借地権に定期借家権を組み合わせることも可能です。
- ⑦契約期間1年以上の場合には、大家さんは期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、期間満了の通知を行う義務があります。
3.定期借家契約を結ぶ時のポイントは
- ①公正証書などの書面によって契約を結ぶ必要があります。
- ②定期借家契約であることを書面で説明しなければなりません。
- ③上記説明を受けたことを証明する書類に署名押印をしてもらいましょう。
4.定期借家権による効果は
- ①立退料がいらなくなるなど貸しやすくなります。
- ②賃貸借契約を借り主、貸し主が対等な立場で行うことができます。
- ③賃貸借契約のバリエーションが増えます。
- ④不動産の金融商品化が進むと考えられます。
(※「創意工夫で節税 税の便利帳」 平成22年05月01日16版発行より抜粋)