相続税申告のあすか TOP > 相続税の便利帳 > 相続税の便利帳 Vol.35「優良な資産を相続するための現状分析」
税の便利帳 相続税と円満な相続のお役立ち情報

税の便利な知識をお伝えすることで、少しでも相続税と円満な相続のお役に立てればと思います。
ここでは、今後不定期に追加していきますので、ぜひご参考にしてください。
第35回目は「優良な資産を相続するための現状分析」についてです。

優良な資産を相続するための現状分析 ~相続税の便利帳Vol.35~

貸宅地がある場合の地主さんの現状分析を行うと、現段階で不良資産の解決をしておかなければなりません。

1.現在の財産の現状分析→“財産のバランスを把握する”

評価額(万円) 割合
借方 土地 270,564 84.7%
建物 48,646 15.2%
現預金 - -
その他 - -
合計 319,210 100%
貸方 借入金・敷金 41,422 12.9%
その他 - -
相続税 116,943 36.6%
残る財産 160,845 50.3%

財産の賃借対照表

財産 土地 27億 借入金 4.1億 債務
相続税 11.6億
残る財産 16億 残余財産
建物 4.8億
計 319,210万円 計 319,210万円

2.土地の分析→「土地の色分け」

①土地の色分けの考え方

              
a. 自宅、墓地、分家用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 末代まで残したい土地
b. 生産緑地・調整区域の農地・・・・・・・・・・・・‥ 一生農業する土地
c. アパート、マンション、倉庫等・・・・・・・・・・ 有効活用地
d. 更地、駐車場用地、宅地化する農地・・・・‥ 未利用地、納税用地
e. 山林、私道・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 活用の難しい土地
f. 貸地(貸宅地、小作地)・無道路地・・・・・・・・・ 不良資産。是非解決すべき土地

☆上記6つに分けて考えることが土地の整理につながります。

②現在の土地の状況〈設例〉

区分 用途 地積(㎡) 相続評価額(万円) 割合
対地積 対金額
a 自宅・分家用等 1,800.00 35,996 10.0 13.3
b 生産緑地等 0 0 0 0
c アパート、倉庫等 3,200.00 61,207 17.8 22.6
d 更地、駐車場 2,000.00 51,796 11.1 19.1
e 山林、私道 5,000.00 52,647 27.8 19.5
f 貸地、無道路地 6,000.00 68,918 33.3 25.5
合計 18,000.00 270,564 100% 100%

☆つまり、土地の評価額によるバランスは、下のようになります。

0 10億 20億 27億円
a. c d e f

支払う相続税は、11億6,943万円(1次+2次の合計額)
        どこで手当をするか・・・・・・

3.分析のまとめと結果→貸宅地解決の必要は

特A

財産のほとんど(100%)が土地、建物であり
それに対して11.6億(36.6%)が相続税。  土地の物納又は売却しかありません。(一部のみ延納可)

しかし

〈c〉
●アパート、マンション等の有効活用地
・比較的新しい物件は、借入れしているものが多く、抵当に入っている。
・逆に古い物件は、抵当がなくても、家賃が安い、又は管理が難しい。
・アパートのように管理の難しい財産は、他に優良資産があれば国はとらない。
・投資根回りがよほど高くない限り、低額でしか売れない。
〈e〉
●山林等
・境界の確定がまず不可能であり、物納は不可能に近い。
・現況では、誰も買わない。(よほど安ければ別)
・開発して売却するにしても莫大な時間と費用がかかる。
〈f〉
●地代が安すぎると物納は負荷
・一般に売却しようとしても売れない。(よほど安ければ別)
・意識不明、契約書のないものが多く、物納は不可。

現状では→不良資産の解決をするしか道がない
そのまま物納又は売却できるものは

〈a〉自宅等  3.5億 自宅がなくなる
〈b〉駐車場等 5.1億 相続破産
計 8.6億 相続税 11.6億
必要度は、 特A・・・死活問題
A・・・絶対必要
B・・・ぜひ実行を
C・・・解決がトク


(※「創意工夫で節税 税の便利帳」 平成22年05月01日16版発行より抜粋)

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