養子縁組を行うことで、相続税対策になる場合があることをご存知ですか?
相続対策の一貫として養子縁組を行うことで、かなりの額の節税につながる場合もあります。
しかし一方で、注意点や節税対策としての養子縁組の方法を理解していないと、節税になるどころか家族間トラブルに発展してしまうことも。
今回は、相続税の節税に効果のある養子縁組の基礎知識からよくある相続との関係・よくあるトラブルについて詳しくみていきましょう。
目次
養子縁組の種類
養子縁組の種類と相続の関係
養子縁組でよくあるトラブル
孫に養子縁組を組む相続対策
まとめ
養子縁組の種類
養子縁組とは、本来親子関係にない者同士が法律上親子の関係とする制度です。
養子縁組には、大きく分けて普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。
普通養子とは
普通養子とは、実親との親子関係は存続しながら、法律上の親子関係を養父母と築くことができる養子縁組です。
一般的な養子縁組として知られており、当事者同士の同意により戸籍を届けることで養子縁組が成立します。また、家庭裁判所への申し出などは不要です。
普通養子縁組を組むための条件・方法についてはこちらもご確認ください。
→ 相続税の節税に効果的?養子縁組のメリット・注意点について知ろう |
特別養子とは
特別養子とは、特殊な状況において家庭裁判所の審判によって決められる養子縁組です。
実父母との親子関係は戸籍上も含めすべて絶ち切られ、養父母とのみ親子関係が築かれます。また、養子の年齢に制限のない普通養子縁組と比べ、特別養子縁組では原則として6歳未満であることが決められています。
当事者同士の合意によって成立する普通養子縁組に対して、特別養子縁組は子どもを守るための福祉の意味合いが強いものです。一定期間養親が養子を監護する・養親が25歳以上であることといった普通養子と比べて厳しい条件があります。
養子縁組の種類と相続の関係
普通養子の相続
普通養子縁組の場合、実親との関係も続いていることから実親・養親の両方から相続を受けることが可能です。
また、相続分・遺留分についても実子と同じ扱いとなります。
特別養子の相続
特別養子縁組の場合、実親との関係は法律上絶たれているため実親からの相続権や相互扶養義務などは一切喪失します。よって、相続権は養親からのものに限られます。
相続分・遺留分については、普通養子の場合と同様に実子と同じ扱いとなります。
養子縁組による相続対策には制限がある
相続税の基礎控除額(相続税を支払わなくて良い上限の相続金額)は、以下のような式で計算されます。
3000万円+600万円✕法定相続人数
つまり法定相続人の数が増えれば増えるほど、相続税の節税につながるように見えます。そのため、相続税対策の一貫として養子縁組を複数組組み、法定相続人の数を増やせば相続税を減らせると考える方もいらっしゃいます。
しかし、法定相続人の数としてカウントして良い養子の数には制限があります。実子が1人いる場合は1人まで・実子がいない場合は2人までが法定相続人としてカウントできると決まっています。
相続税対策として養子縁組をいくつか組んでも、法定相続人の数に含まれない場合もあるので注意が必要です。
そのほか養子縁組を組んだ際の相続上の効果やメリット・デメリットについてはこちらもご確認ください。
→ 相続のために養子縁組をしたい。そんなときに読む記事 |
養子縁組でよくあるトラブル
養子縁組を組むことで、相続税の節税などのメリットも発生します。ただし、安易な養子縁組はトラブルの元となるので要注意です。
養子縁組でよくあるトラブルとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 相続税の申告が否認される
- 実子の理解が得られない
- 養子にはマイナスの財産も発生する
- 養子縁組は簡単に解消できない
養子縁組を組む前に、本当に養子縁組を組む必要があるのか・想定されるトラブルを事前に予想してしっかりと考えておくようにしましょう。
養子縁組でよくあるトラブルについて詳細は以下の記事をご確認ください。
→ 相続税対策の養子縁組とよくあるトラブル4選 |
孫に養子縁組を組む相続対策
相続税の節税対策として、孫と養子縁組を組むことで法定相続人の数を増やし基礎控除額を増やす方法によって対策を考えられる方がいらっしゃいます。
しかし、この方法は一概に節税になるとは限りません。その理由は、孫に相続する場合、通常であれば相続税額が2割加算されるからです。
孫に相続する場合、節税対策としては養子縁組ではなく生前贈与の方がメリットが大きい場合が多いです。
孫に対する養子縁組と2割加算の関係について詳しくは以下の記事をご確認ください。
→ 2割加算の対象?孫を養子にする前に知っておくべき相続税対策 |
まとめ
特に普通養子縁組は、相続税対策の一貫としても用いられる事が少なくありません。
ただし、養子縁組を組んだ際に法定相続人の数に含まれるか・養子縁組を組むことによるトラブルはないかなどを十分に考えた上で、行うようにしましょう。
また、養子縁組よりも適した相続税対策が考えられる場合もあります。まずは相続税に詳しい税理士などに相談した上で、最適の方法を選択されることをオススメします。