相続財産にはどのようなものがあるのでしょうか。実は、相続の財産は、受けるものの種類によって、その税金の種類も異なるのです。また、相続の財産には税金がかかるものもあれば、かからないものもあるのです。
財産なのに相続税がかからないのであれば、そんな財産は積極的に増やしていきたいと考えるかもしれません。しかし、なかなかそうはいかないのが現状です。
では、相続財産の種類にはどのようなものがあって、どのように税金がかかるのかをみていきます。
相続財産の種類
相続財産は、大きく分けて3つに分けられます。それぞれみていきましょう。
相続財産の種類1:プラスの財産
まずはプラスの財産です。これは想像しやすいのではないかと思います。たとえば、不動産。土地や建物は、不動産に該当しプラスの財産です。また、金融関係のプラスの財産です。現金をはじめとして、小切手や預貯金、株式に加えて、貸付金や売掛金なども金融関係のプラス財産に相当します。
さらに、動産です。車、貴金属、家具、骨董品などをはじめとする財産です。さらに、自分でビジネスを営んでいた場合は、器具、自動車、商品や製品といったものも、動産に含まれます。
そのほか、電話加入権やゴルフ会員権といった権利もプラスの財産に該当します。他にも、特許権や著作権、漁業権などもプラスの財産といえるでしょう。これらのものがプラスの財産として受け継がれることになります。
相続財産の種類2:マイナスの財産
受け取ると財産が増えるプラスの財産に対して、マイナスの財産は財産が減るものをいいます。たとえば、借金や小切手、そして買掛金などの負債は、受け継ぐと自分がマイナスになってしまいます。
また、未払いの租税公課という税金の未払いもマイナスの財産に該当します。
住民税・所得税・固定資産税といった税金は、亡くなったとしても未払い租税公課としてマイナスの財産として残ってしまう場合があります。未払い分の税金についても、受け継いだ人が支払う必要があるのです。
さらに、亡くなる前の医療費が支払われていなかったり、家賃が未払いの場合も、マイナスの財産として相続人が支払う必要が出てきます。借金以外にも、被相続人が支払わなかった税金・費用はマイナスの財産に該当します。
その他:相続財産に該当しないもの
一見すると、財産にみえるものでも、実は財産として扱われないものがあります。主に祭祀にまつわるもので、墓地や仏壇を始めとした宗教的なもの、そして仏具、神具、そして香典といったものです。
これらの被相続人が亡くなったことで発生したものは、プラスの財産・マイナスの財産どちらにも該当しません。その他として、「相続財産に該当しないもの」と扱われます。
また、3つ目の財産として「みなし財産」というものがあります。次の章では、3つめの相続対象であるみなし財産について詳しくみていきましょう。
3つ目の相続財産:みなし財産とは
みなし財産とは、被相続人の死亡に関して発生した財産のことです。上記でみてきたプラスの財産、マイナスの財産、そしてみなされない財産は、どれも被相続人が生前の努力で築いた遺産です。
一方、みなし財産は死亡に伴って生まれた財産のことをいいます。本来の相続財産にはあたらないけれど、相続財産と同様の価値があるものです。みなし財産には受取人がいます。よって、遺産分割協議の対象にはならないのが特徴です。しかし、相続税の課税対象となるので、相続税は支払う必要があります。
みなし財産の種類
では具体的に、どのようなみなし財産があるのかみていきましょう。まず、わかりやすいものとして、生命保険があります。被相続人が生命保険に加入していて、受取人が財産を受け継いだ場合に、この生命保険は、相続財産に該当することになります。
また、死亡退職金が会社から出る場合があります。また、死亡退職金を死亡から3年以内に受け取った場合に限って、相続財産となります。こちらも、受取人が指定されていることになるので、それに応じて相続財産に該当します。
弔慰金や花輪代が被相続人が死亡した場合、勤めていた会社から出る場合があります。これらもみなし財産として扱われます。そして、贈与税のかかった財産もみなし財産として扱われます。死亡前3年以内に受け取った贈与は、相続とみなされるというルールがあります。
たとえば、贈与税には暦年贈与といって、年間110万円までの贈与に関しては非課税となります。
しかし、死亡前3年間に限っては、贈与ではなく相続とみなされるというルールがあるのです。よって、死亡前3年間に受け取った財産に関しては、年間110万円以内かどうかは関係なく、みなし財産として相続税が発生します。
みなし財産の注意点
みなし財産については、遺産分割協議に含まないため誰が受け取る・誰が相続税を払うかでトラブルにならないように注意が必要です。
また、みなし財産を財産には該当しないと勝手に判断して処分してしまうと後々問題になることもあります。相続財産に該当するかどうかしっかりと税理士や弁護士に相談するようにしましょう。
相続が発生した場合にかかる税金の種類
さて、続いて相続が発生した場合に、税金のかかる財産と税金の種類についてみていきましょう。
税金1:相続税
まず、財産とみなし財産には相続税がかかります。相続税は高いですが、死亡から10ヶ月以内に税務署に申告する必要があります。
税金2:所得税も収める必要がある
亡くなった方が給与所得者であったり、事業主であった場合には、所得税を納める必要があります。生前の報酬に対して、確定申告を行い所得税を納めなければなりません。
また、事業主だった場合、課税売上が1000万円を超えていたら消費税が発生します。さらに事業税もかかりますので、注意してください。
準確定申告を行う必要がある
相続が起こってから4ヶ月以内に、被相続人のための確定申告をする必要があります。これを準確定申告といいます。準確定申告で納めた税金は、相続財産から控除されるので、相続税が減免されます。
準確定申告は、相続人が被相続人の納税地の税務署に対して行います。
準確定申告を行うのを忘れていたり、期日に遅れてしまうと重加算税などのペナルティが発生する場合がありますので、注意しましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回は相続財産の種類とかかる税金についてみていきました。
プラスの財産・みなし財産に対しては納税を行う必要があります。また、みなし財産については、勝手に相続財産に該当しないと思っているとトラブルになる場合もあるので注意が必要です。
「何が相続財産に該当するか分からない」「財産に対して発生する税金が分からない」という場合には、相続に強い専門家に相談することをおすすめします。
特に、相続税に関しては相続専門の税理士に相談してみましょう。あなたに最適の節税方法や、相続に関してアドバイスを受けることができますよ。