実は、相続税に対しても税務調査があることをご存知でしょうか?なんと相続税を申告した際の約1/4が税務調査の対象となっています。
特に生前に預金を移動させる・死亡直後にお金を引き出すといった不自然な行動は税務調査が入りやすくなります。
今回は、意外と知らない相続税に関する税務調査と、税務調査に入られやすいポイントについて詳しく解説します。さっそくみていきましょう。
相続税にも税務調査があるので要注意
税務調査と聞くと、大きな企業が売上を隠したり、売上が多くある中小企業が二重帳簿をつけていて税務署に踏み込まれたり、というイメージがありませんか?それは確かに税務調査ですが、所得税の税務調査となります。
しかし相続税も大きなお金が動くため、税務調査があります。
こんな相続税の節税は見抜かれる!なんでも知っている税務署
相続税を節税したい、せっかく故人が必死で作ってくれた財産を少しでも減らしたくない、そう思うのは誰しも同じです。しかし、極端な節税は脱税につながってしまいます。税務署はこちらの心理を知り尽くしているため、あらゆる手段で税務調査にはります。
相続において特に多いのが、預金を相続前に動かしてしまうケースです。たとえば、被相続人である親の体調が良くなく、死亡した場合に相続税が発生するのが嫌なので、現金を預金通帳で引き出しておくといったケースです。
しかしこれは脱税に相当しますので、税務調査の対象となります。相続税を低くしようと試みてお金を動かしているので、脱税といわれても仕方がないのです。そうならないためには適切な申告が重要です。
不自然なお金の動きはチェックされます
税務署はなんでも知っています。預金の動きなども過去5年~10年にさかのぼって見ることができますので、亡くなった人、つまり被相続人の死亡日前後に不自然な口座の資金移動があればすぐにわかります。
税務署は銀行口座をチェックする権利を持っているので、相続直前・直後の不自然なお金の移動はすぐにバレてしまいます。また、相続人、つまり相続財産を受け取った側の口座もチェックすることができるため、振込で資金移動した場合なども、必ず発覚します。
預金に一度でも記載されたお金は税務署が把握できる
さらに税務署は、被相続人・相続人の預金口座に、一度でも振り込まれたものはすべて把握できます。よって、例えば被相続人の死亡の数年前であっても、一度に100万円が被相続人から相続人の口座に振り込まれていたら、それは贈与とみなされる可能性が高いのです。
資金の移動が他社名義の口座間で行われれば、それは贈与税の対象となる可能性が高く、申告していなければそれは問題です。
もしも事前に資金を移動させたければ、年間110万円までなら贈与税が非課税になるので、年間110万円ずつ口座移動し、しっかりと申告をしましょう。
しっかり申告している人には税務調査は入りにくい
申告漏れ・申告し忘れも税務調査の対象となります。また、税務署はしっかりと確定申告しており、細かな資金の動きも自主的に報告している人には、税務調査を仕掛けない傾向があります。
これはまた後述しますが、税務調査に入られないためには、税理士に一度相談しておくことも重要です。納税額を相続が発生したあとから下げるのはとても難しいので、相続税が発生する前の段階で税理士に相談するようにしましょう。
税務調査に入られるのはタンス預金
さて、税務調査では、タンス預金でも調査の対象になるのでしょうか?タンス預金というと、現金をこっそり隠しておくことですよね。税務署はタンスのなかまでチェックするのでしょうか?正解は、ずばりチェックされます。
タンス預金は必ずバレる
タンス預金は、最初からタンスの中に発生したお金ではありません。所得があって、そこからいくらかを現金としてプールしていくわけです。税務署は所得税を把握していますので、その故人が生前どのくらいお金を稼いでいたかをすべて把握しています。
そして、収入がどのぐらいであればどの程度の資産を形成しているのか予測し、発生する相続税の目安を立てています。つまり、もしあ納めた相続税が目安よりもはるかに低額であれば、残りのお金はどこにいった?という話になるわけです。
つまり、タンス預金は必ずバレます。タンス預金を行ったからといって相続税対策になることはなく、結局ペナルティを受けたり余分に税金を支払うことになります。だからこそ、最初からしっかりと申告することが大切です。
トラブルを招くタンス預金
銀行が信じられない、その他税務署がイヤなどの理由により、タンス預金している人は意外と多いものです。
しかしタンス預金は、そもそもトラブルの原因になりやすいものです。特に、被相続人側が亡くなる前に、家族に言わずにタンス預金をしていると相続分配時に面倒なことになる場合があります。
タンス預金がトラブルを起こすケース
例えば相続が終わり、相続分担・相続税納付も完了した後に、家を片付けていたらタンスの奥から現金が大量にでてきた、ということはよく起こることです。
そうなると、遺産分割協議も最初からスタートし直しで、さらに相続税においても修正申告が必要となります。このように、相続事態もややこしくする原因となるので、タンス預金はおすすめできません。
さらに、タンス預金を知っている人がこっそりと持っていってしまうケースもあり、財産全体の把握がしづらくトラブルが発生しやすくなります。脱税方法としてタンス預金をする人が多いのですが、脱税できないどころかトラブルが起こることが少なくないのでやめておきましょう。
税務調査防止には税理士への相談が得策
さて、タンス預金は節税につながらないことをお分かりいただけたかと思います。では、税務調査に怪しまれることなく、正当な理由で節税するにはどうしたら良いのでしょうか?
節税・税理管理については、税理士に依頼することをおすすめします。税理士であれば、相続税の申告の際にも税務調査に入られにくくしてくれます。具体的には、過去の通帳をさかのぼり、申告漏れが出にくくしてくれます。
財産を過去に遡って整理整頓し、これは非課税、これは贈与税の対象、といったようにしっかりと仕分けをしてくれます。
過払い相続税の還付にもつながる
また、税務署は払いすぎた相続税「過払い相続税」については教えてくれません。
つまり、税金を払いすぎていても、自ら申告しなければ返してもらうことは出来ません。相続に詳しい税理士であれば、過払い相続税についてもしっかり教えてくれます。
税理士に依頼をしておくことで、税務調査の対象から外れやすくなるだけでなく、節税・過払い相続税の還付にも対応してもらうことができます。ぜひ相続に詳しい相続専門の税理士にお願いするようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?相続税にも税務調査があることそ知らなかった方も多いのではないでしょうか。特に、税務署はタンス預金のように「隠そうとする」行動に対して税務調査の対象とする傾向があります。
後々面倒になるだけでなく、相続人側のトラブルにもつながるので、タンス預金はしないようにしましょう。また、節税を考えた場合には、専門家である税理士に相談するのが最も良い方法です。特に相続専門の税理士は、相続税の節税に関しても詳しいです。
税務調査対策・節税対策には、タンス預金よりも税理士に相談することが得策ですよ。