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不動産小口化商品は、これまで相続税対策の方法として注目されてきました。不動産小口化商品は、現金で保有する場合と比べて、相続税評価額を抑えられる可能性があったためです。

しかし、相続税評価の見直しにより、不動産小口化商品を活用した相続税対策の考え方は変わろうとしています。これまでと同じような節税効果を期待できるとは限らないため、購入を検討している方や、すでに保有している方は注意が必要です。

本記事では、不動産小口化商品が相続税対策に活用されてきた理由や、評価方法の変更による影響、今後検討する際のポイントについて解説します。

不動産小口化商品が相続税対策に活用されてきた理由

不動産小口化商品は、相続税対策の選択肢として注目されてきた商品の一つです。まずは、不動産小口化商品の基本的な特徴と、相続税対策として活用されてきた背景を確認しましょう。

不動産小口化商品とは

不動産小口化商品とは、不動産を小口化し、複数の投資家が出資することで、不動産に関連する権利や収益を得ることができる商品です。商品の仕組みにはいくつかの種類があり、投資家が不動産の共有持分を取得するものや、事業者との契約を通じて不動産から得られる収益の分配を受けるものなどがあります。

現物の不動産を購入する場合、多額の資金が必要になることがありますが、不動産小口化商品であれば、比較的少額から不動産投資を始められます。また、複数の投資家で一つの不動産を共有する形になるため、現物の不動産と比べて管理の手間を抑えやすいというメリットもあります。

さらに、相続の場面では、現物不動産と比べると、持分単位で承継しやすい場合があります。そのため、資産承継の方法の一つとしても注目されてきました。

相続税対策として活用されてきた理由

不動産小口化商品が相続税対策として利用されてきた大きな理由は、現金で保有する場合と比べて、相続税評価額を抑えられる可能性があったためです。

相続税では、財産の種類ごとに評価方法が異なります。現金や預貯金は基本的に額面どおり評価されますが、不動産については土地や建物ごとに定められた評価方法によって評価されるため、時価よりも低い評価額になる場合があります。

不動産小口化商品についても、従来は一定の要件を満たす場合、不動産としての評価方法が適用されることで、購入価格や市場価格よりも低い相続税評価額となる可能性がありました。

その結果、現金をそのまま保有する場合と比べて、相続財産の評価額を圧縮でき、相続税負担の軽減につながる可能性があることから、相続税対策の選択肢の一つとして活用されてきました。

不動産小口化商品が相続税対策に活用されてきた理由

不動産小口化商品の相続税評価はどう変わるのか

これまで、一定の不動産小口化商品では、土地については路線価方式など、建物については固定資産税評価額を基に評価する考え方が取られていました。一般的に、路線価や固定資産税評価額は市場価格を下回ることがあるため、購入価格などとの差額が生じ、その結果として相続税負担の軽減につながる場合があったのです。

こうした状況を踏まえ、令和8年度税制改正では、不動産小口化商品の評価方法が見直されることになりました。今後、不動産特定共同事業契約や一定の信託受益権に係る契約に基づく権利の対象となっている貸付用不動産については、相続開始時や贈与時の通常の取引価額に相当する金額を基に評価されることになります。

なお、この見直しは、令和9年1月1日以後に相続または贈与により取得する財産の評価に適用される予定です。これにより、相続税評価額がこれまでより通常の取引価額に近い水準となり、これまでのように評価額を大きく圧縮することは難しくなると考えられます。

不動産小口化商品の相続税評価はどう変わるのか

評価方法の見直しによる相続税対策への影響

不動産小口化商品の評価方法が見直されることで、相続税対策にも影響が及ぶことになります。すでに活用している人や、今後購入を検討している人は、制度変更による影響を理解したうえで判断することが重要です。ここでは、節税効果への影響や相続対策を見直す必要性について解説します。

相続税対策としての節税効果は期待しにくくなる

不動産小口化商品は、これまで、相続税評価額と実際の購入価格などとの差に着目し、相続財産の評価額を抑える方法として活用されてきました。しかし、評価方法の見直しにより、今後は通常の取引価額に相当する金額を基に評価されることになり、以前のように大きな評価額の圧縮効果を期待することは難しくなります。

従来、不動産小口化商品では、購入価格や実際の取引額よりも低い相続税評価額となる場合がありました。しかし、今後は相続税評価額が通常の取引価額に近い水準となることで、従来どおりの節税効果を前提に考えることは難しくなります。

相続税対策の見直しが必要になる

すでに不動産小口化商品を活用して相続税対策を行ってきた人は、今回の評価方法の見直しを踏まえ、改めて対策内容を確認する必要があります。

不動産小口化商品による評価額の圧縮効果を前提に相続税額を試算していた場合、制度の変更によって当初試算していた評価額と実際の評価額に差が生じる可能性があります。その結果、見込みよりも相続税負担が大きくなることも考えられます。

今後は、現在の財産状況や相続人の状況を踏まえて相続税額を再試算し、必要な対策を検討することが重要です。不動産小口化商品以外の方法も含めて、どのような対策が適しているのか、税理士などの専門家に相談しながら見直すことをおすすめします。

評価方法の見直しによる相続税対策への影響

不動産小口化商品を検討する際の注意点

不動産小口化商品を検討する場合は、相続税対策としての効果だけで判断しないことが大切です。今回の評価方法の見直しにより、これまで期待されていたような評価額の圧縮効果は得にくくなる可能性があります。そのため、「相続税を減らすための商品」という考え方だけで購入を判断することは難しくなります。

一方で、不動産小口化商品には、少額から不動産に投資できることや、現物不動産と比べて管理の負担を抑えられること、商品によっては、複数の相続人に資産を分けやすいことなど、さまざまなメリットがあります。そのため、購入を検討する際には、保有する目的を明確にしたうえで検討することが重要です。

相続税対策だけを目的とする場合は、期待できる効果を十分に確認する必要があります。一方で、資産保有や将来の資産承継など、他の目的も含めて活用する合理性がある場合は、今後も選択肢の一つとなる可能性があります。

なお、相続税対策は、保有している財産や家族構成などによって、適した方法が異なります。不動産小口化商品を含め、ご自身の状況に合った具体的な対策について検討したい場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

不動産小口化商品は、これまで相続税評価額と実際の購入価格などとの差を活用することで、相続税対策の手段として利用されてきました。しかし、令和8年度税制改正による評価方法の見直しにより、今後は従来のような評価額の圧縮効果を期待しにくくなります。

すでに不動産小口化商品を保有している場合は、想定していた相続税負担が変わる可能性もあるため、改めて対策を見直すことが重要です。また、これから検討する場合は、節税効果だけでなく、資産保有や承継の目的も踏まえて判断する必要があります。ご自身に合った具体的な対策を検討する場合は、税理士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。