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子供が死亡した場合の相続

「相続」というと、親のどちらかが亡くなり配偶者や子が相続するケースを連想される方が多いと思いますが、なかには子が親よりも先に亡くなる場合があります。このような場合、亡くなった子供の財産は誰が相続することになるのでしょうか?

また、預金口座の名義は子供であっても実質的な管理者が親であるような、いわゆる「名義預金」があった場合、相続時にはこれをどのように扱えば良いのでしょうか?

ここでは、親よりも先に子供が死亡した場合の相続について解説していきます。

子供が死亡した場合相続人は誰になる?

不幸にも親よりも先に子供が亡くなってしまった場合、その相続はどのようになるのでしょうか?誰に財産を相続する権利があり、そしてその相続税はどうなるのでしょうか?

これらを整理するために、まずこの章では子供の残した財産を誰が相続することができるのかを考えてみます。

誰が相続できるのか(=誰が法定相続人になるのか)を整理するため、

  1. 子供に息子・娘がいる場合
  2. 子供に息子・娘がいない場合

に分けて考えてみます。

1-1 子供に息子・娘がいる場合(かつ子供の配偶者がいる場合)

子供に息子・娘がおり、かつ配偶者がいる場合には、子供の残した財産は息子・娘と配偶者が相続人になります。相続財産は配偶者が半分を相続し、残りの半分を息子や娘の人数で頭割りします。

1-2 子供に息子・娘がいる場合(かつ子供の配偶者がいない場合)

子供に息子・娘がいる場合で死別・離婚などにより配偶者がいない場合には、全ての財産を子供が相続することになります。相続財産の分配方法は、子供の人数により均等に頭割りしていきます。

2-1 子供に息子・娘がいない場合(かつ子供の配偶者がいる場合)

子供に息子・娘はおらず配偶者のみの場合、子供が残した財産の2/3は配偶者が相続人として相続することになります。また、残りの1/3は子供の親が相続することになります。

2-2 子供に息子・娘がいない場合(内縁の妻がいる場合)

では最後に、子供に息子・娘がいないけれど内縁の妻がいる場合はどうなるでしょうか?この場合、子供が残した財産の相続人は親のみとなります。

ただし子供が内縁の妻に財産を分与する旨の遺言書を残せば、内縁の妻も財産を相続することできます。しかしこの場合、内縁の妻は配偶者ではないため、配偶者の税額控除や小規模宅地の特例などを利用することができません。また、相続税率は法定相続人と比べて2割加算されることになります。
子供が死亡した場合の相続財産分配

子供が死亡した場合の相続税はどうなる?

子供が死亡した場合の相続人について、これで整理が出来ました。実際に相続する場合の相続税はどうなるでしょうか?

子供が死亡した場合の相続は通常の相続と同じ

子供が死亡した場合の相続も、基本的には通常の相続と変わりありません。なお親が子どもの財産を相続するのは、

  1. 子供に配偶者がいる場合(息子・娘はいない)
  2. 子供に配偶者がいない場合(息子・娘はいない)

の2通りしかありません(遺言書を作成して財産分与を行う場合を除く)。

そこでこの2つのパターンに分けて、実際の相続税について考えてみます。

1.子供に配偶者がいる場合(息子・娘はいない)

この場合、子供の配偶者と親が法定相続人となります。例えば子供の両親がご健在の場合、法定相続人は3人ですから、

相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×3人=4,800万円

となります。そのため子供の財産が4,800万円以内であれば、相続税は課税されません。

なお両親は、4,800万円を超える部分に関しては、財産を受け取る金額に応じた相続税を支払うことになります。また、配偶者に関しては、1億6千万円もしくは法定相続分相当額のどちらか多い方までは相続税が非課税となるため、これを超えない限り相続税を支払う必要はありません。

2.子供に配偶者がいない場合(息子・娘はいない)

子供に配偶者がいない場合で、子供に息子も娘もいなければ、財産は全て両親が相続することになります。両親がご健在であれば法定相続人は2人ですから、

相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×2人=4,200万円

となります。そのため子供の財産が4,200万円以内であれば、相続税は課税されません。

子供名義の預金口座はどうなる?

子供名義の預金も、他の財産と何ら変わりありません。ただしそれが「名義預金」である場合、相続時の取扱いはほかの預金口座などとは異なることになります。

名義預金とは?

名義預金とは、口座の名義人と本当の預金者の名義が異なる預金のことをいいます。例えば親が子供の名義で通帳を作り、その通帳を親が管理している場合などが名義預金にあたります。

例えば子供への暦年贈与として子供名義の口座を作り、そこへ贈与税の基礎控除である110万円を超えない金額を親から振り込んでいる場合などに問題となるのが、この名義預金です。

なお税務署により名義預金と認定された場合、暦年贈与として行ってきた相続税対策は全て無効となり、贈与税の時効の成立も否定されることになります。

名義預金のかどうかの認定基準について

では、どのような場合に名義預金と認定されるのでしょうか?一般的には以下のような基準で、名義預金かどうかを判断します。

  • 預貯金の原資はそもそも誰のものか?・・・預金が親などから振り込まれたものであれば名義預金と認定される可能性があります。ただし親子間で贈与が成立していれば、名義預金とみなされることはありません。
  • 預金は誰が管理しているのか?・・・預金通帳や印鑑、キャッシュカードなどの実際の管理者が口座名義人でなければ、名義預金とみなされる可能性があります。
  • どのような経緯で口座を開設したのか・・・口座名義人が自ら口座開設を行っていない場合、名義預金とみなされる可能性があります。

名義預金であった場合の相続での取り扱いについて

子供名義の口座が名義預金と認められた場合、相続時に子供の相続財産から除外して本来の所有者(=親など)の財産とします。

ただし名義預金であるかどうかの判断は、税法の知識等が必要になります。できるだけ税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

子供が死亡した場合の相続と名義預金

子供が死亡したあとの相続はどうなるのか?

子供が亡くなった後で親が亡くなった場合、その相続はどうなるのでしょうか?その場合、誰が相続人となるのでしょうか?子供に息子・娘がいる場合といない場合に分けて考えてみます。

子供に息子・娘がいる場合

子供が亡くなった後で親が亡くなった場合、子供に息子・娘がいる場合には、息子・娘が親の財産の相続人になります。

このように、亡くなった子供の代わりにその相続権を継承することを代襲相続といいます。

子供に息子・娘がいない場合

子供に息子・娘がおらず、その子供に兄弟もいない場合、親が亡くなった後の財産を相続する権利は親の親へ移ります。ちなみに親の親がすでに亡くなっている場合には、親の兄弟へ移ることになります。

子供が死亡したあとの相続

まとめ

親よりも先に子供が亡くなると、亡くなった子供に息子や娘がいる場合には親が相続人になることはありませんが、いない場合には、親も相続人になります。

このような場合、子供の相続財産の中に名義預金が含まれていることがありますが、名義預金であるかどうかの判断は税法などの専門的な知識が必要となります。また、場合によっては名義預金であるかどうかで相続税額に影響が出てしまうため、この判断は大変重要です。

そのため子供が先に死亡したケースの相続については、税理士などの専門家にご相談されることをおすすめします。