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一定以上に相当する相続財産がある場合、相続税が発生します。相続税は、相続額が上がるに従って相続税率が上がっていくので相続額が大きい場合には生前に相続税対策を行っておくことが大切です。

特に上手に生前贈与を行っておくと、相続税を大きく節税することができます。今回は、生前贈与の主な方法からメリット・注意点までを詳しく解説していきます。

さっそくみていきましょう。

生前贈与とは

生前贈与とは、自分の財産を生前に贈与という形で子や孫などに財産を渡すことをいいます。相続の場合、遺言を残すことで相続する相手や相続するもの・金額を決めることになりますが、被相続人の意志だけで決定することができない場合もあります。

一方、生前贈与では、贈与する相手・金額を贈与者が好きに決めることができるだけでなく、贈与する時期も自由に選択することができます。

例えばお世話になった施設に財産を一部贈与することも可能ですし、自分が好きな人に手厚めに贈与することも可能なのです。

さらに上手に生前贈与を行うと節税効果もあるので、相続よりも生前贈与の形で財産を分割する人が増えています。

生前贈与の最大のメリット:節税に効果的!

生前贈与・相続ともに一定額以上に対しては税金がかかります。しかし、生前贈与を上手く利用することで、相続時に発生する相続税を節税できる場合があります。

生前贈与の場合、年間110万円までであれば税金が控除されます。例えば将来相続をする予定の人に、節税対策として毎年110万円前後の額を贈与し続けると、将来的に相続する額が減り、その分相続税の節税につながります。

このように、生前贈与を将来発生する相続税のことを考えながら利用することで節税に効果的なのです。

相続税は増税傾向にあります。2013年に改定され、控除額が減ってしまいました。このため、多くの人が新たに相続税の対象となったこともあり、生前贈与で節税する人が増えているのです。

生前贈与の対策

生前贈与による贈与税の支払い方法

では具体的に、生前贈与には具体的にどのような方法があるかみていきましょう。生前贈与を受ける人は、贈与税を支払うことになります。この贈与税の支払い方法には2種類あり、どちらかの方法を選択する必要があります。

方法1:暦年課税

暦年贈与の場合、年間110万円までの贈与が非課税となります。非課税枠は1人に対して110万円までなので、例えば3人に10年間暦年贈与すると、3,300万円分の控除となり節税になります。

受贈者が1月1日~12月31日までに受け取った合計金額が110万円を超える場合にのみ、贈与税がかかります。

方法2:相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は、相続税の非課税に関する制度です。60歳以上の親又は祖父母から20歳以上の子供又は孫に贈与があった場合にのみ選択することができます。一生のうちに2,500万円分の非課税枠が与えられるというものです。暦年贈与の110万円に対して、相続時精算課税制度は2,500万円なので、こちらの方がお得な感じがしますよね。

しかし実際には、相続時精算課税制度はそれほどお得な制度ではないので注意しましょう。贈与を行った時点では非課税ですが、相続が発生した時に、税金の残りを精算することになります。

つまり、贈与を受け取ったタイミングでは課税されないだけで、相続時には課税対象となり、結局税金を支払わなくてはなりません。

生前贈与による主な非課税の特例枠

続いて、非課税枠としてよく利用される生前贈与による非課税枠の特例枠をみていきましょう。先ほどみた1年間に110万円までの非課税枠以外にも、条件を満たすことで特例として非課税になる生前贈与がいくつかあります。

方法1:教育資金の一括贈与

教育資金の一括贈与は、孫に1,500万円までを教育資金として贈与できる制度です。1,500万円がそのまま非課税になるため、2013年に開始したこの制度は、大きな注目を集めました。

子や孫など、直径の尊属であれば1,500万円まで非課税になり、非常に有利な制度です。一人あたり1,500万円なので、1,500万円×人数分が非課税対象になり、特に財産が大きい場合の節税対策としても利用されています。

節税にとても役立つので、広く使われています。

方法2:住宅取得等資金の贈与

贈与において特例になるのは教育資金だけではありません。住宅の購入資金を直系の尊属から受け取る場合も、非課税になるケースがあります。

受け取る側が、贈与を受ける年の1月1日時点で20歳以上、年間所得2,000万円以下、直系の尊属である(つまり親や祖父母からの贈与)、住宅購入資金として贈与を受けた次の年の3月15日までに家を買って住んでいる・あるいは住むことが確実であるという条件を満たしている場合に適用されます。

2018年11月現在、最高で1,200万円まで非課税となり、上限がいくらかは、消費税の税率や省エネ住宅かどうかで異なります。

ほかにも夫婦間贈与による特例・結婚子育て資金贈与の特例などがあり、特に結婚子育て資金贈与の特例は平成31年まで限定で利用することができます。使用できる非課税の特例をチェックして、しっかり節税対策を行いましょう。

生前贈与のポイント

生前贈与の2つの注意点

このようにみていくと、生前贈与には多くのメリットがあります。しかし注意点も2点ほどあるので、しっかりとおさえておきましょう。

亡くなる3年前の生前贈与は相続扱い

相続が発生したタイミング、すなわち贈与する側が亡くなってしまった時点からさかのぼって3年の間に行われた生前贈与は、基本的に無効であるというルールがあります。これはあまり知られていませんが、亡くなる前3年間の生前贈与は、相続として扱われてしまいます。

贈与財産の加算と呼ばれるもので、基礎控除の範囲内であっても非課税の生前贈与であっても算入されてしまいます。しかしこれは、相続人に対してのものなので、子供への生前贈与は贈与財産の加算となりますが、孫やひ孫といった直接的に相続の対象にならない人たちへの生前贈与は、関係ありません。

不動産の生前贈与は他の税がかかる

そしてもうひとつ挙げるとすれば、不動産の贈与に関し、登録免許税や不動産取得税などの諸費用がかかるということです。費用と節税効果を両方チェックして、有利な方を選びます。

生前贈与のデメリット

まとめ

いかがでしたか?生前贈与を上手に利用することで、相続税の節税対策に効果的です。また、節税だけでなく、将来的に相続トラブルの回避などにもつながります。

ただし、明らかに節税対策として生前贈与を利用していると判断されると、生前贈与を行うことができない場合もあります。しっかりと相続に強い税理士に相談して、上手に生前贈与を節税に利用するようにしましょう。