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相続税は、すべての財産を合計し、基礎控除やほか控除分を差し引いた残りの額に対する税率から計算していきます。

複雑でややこしい相続税の計算ですが、今回は具体例をみながら分かりやすく解説していきます。正しい相続税の計算方法についてみていきましょう。

相続税の計算する前に揃える必要書類

まずは相続税を計算するにあたって、揃えておきたい書類を確認していきましょう。相続税を計算するためには、まずは財産の合計を計算する必要があります。

主な財産と相続税申告に必要な書類

  • 土地・・・登記簿謄本、固定資産税評価証明書、公図の写し、実測図、賃貸契約書
  • 建物・・・登記簿謄本、固定資産税評価証明書、間取り図、賃貸契約書
  • 株式(上場)・・・株券のコピー、預かり証明書、取引明細、配当金通知書
  • 株式(非上場)・・・申告書、株式名簿
  • 現預金・・・残高証明書、利息計算書、通帳コピー
  • 電話加入権・・・電話番号、場所のメモ
  • ゴルフ会員権・・・権利書のコピー
  • 生命保険・・・支払通知書、保険証書
  • 退職金・・・支払通知書
  • 貸付金・・・貸借契約書
  • 骨董品など・・・品名、作者名、写真等のわかるもの
  • 家財・・・明細
  • その他財産・・・未収金など

上記の書類から相続財産を金額として合計します。また、次に確認していく負の財産を差し引きます。

負債に関する主な書類

負債としての相続財産を計算するために、以下の書類を確認していきます。

  • 借入金・・・貸借契約書、銀行の残高証明書
  • 未払金・・・請求書
  • 未納の租税公課・・・課税通知書
  • その他債務・・・明細
  • 葬儀費用・・・領収書、香典帳

プラスの財産からマイナスの財産を差し引き、全相続財産を計算します。

相続税の計算方法

基本的な計算方法の紹介

相続税の分配は、大きく分けて5ステップで行っていきます。

  • 相続税に関係する財産を洗い出し、課税価格を計算する
  • 課税される遺産の総額を決定する
  • それぞれの法定相続人ごとの課税価格を計算する
  • 法定相続人ごとの相続税額を決定する
  • 相続税の総額を配分する

といった流れになります。それでは財産の計算ができたところで、相続税の計算方法についてみていきましょう。相続税は、まずは全財産から相続税控除の対象額(基礎控除やほか控除)を差し引き、課税対象財産を出します。

続いて、各相続人に分配する課税対象財産を計算し、各相続人が支払うべき相続税を計算していきます。まずは相続税控除額の計算方法からみていきましょう。

基礎控除の算出方法

相続の基礎控除額は、2014年12月31日までに発生した相続では、5,000万円+1,000万円×法定相続人という形だったのですが、2015年1月1日から、3,000万円+600万円×法定相続人という形に変わりました。

  • 法定相続人が1人だと3,600万円
  • 法定相続人が2人だと4,200万円
  • 法定相続人が3人だと4,800万円
  • 法定相続人が4人だと5,400万円
  • 法定相続人が5人だと6,000万円

上記のように基礎控除を全相続分から差し引き、課税対象財産を計算します。また、その他以下のようなほか控除が対象となる場合は、その控除分も全相続分から差し引き課税対象財産を計算していきます。

ほか相続税の控除対象

配偶者控除

配偶者控除は1億6,000万円まで認められます。よって、相続税の中でも相当大きな、一番大きな控除となるため、大抵の方は配偶者が亡くなった場合に、相続税を支払う必要がありません。

小規模宅地の特例

土地を相続人が利用するのであれば、80%程度の評価額になるため、生前対策としてもよく使われる特例です。2億円の土地であれば、1,600万円程度の評価額となり節税になります。

死亡保険金控除

死亡保険金控除は、法定相続人×500万円で控除されるものです。相続人が、被相続人の生命保険を受け取る時、500万円まで課税されません。死亡保険金が1,000万円で法定相続人が2人であるケースにおいて、相続税は0円となります。

死亡退職金控除

死亡退職金控除も同様で、500万円まで相続税がかかりません。仮に1人の法定相続人で800万円の死亡退職金がでた場合、300万円が課税対象となります。

贈与税額控除

贈与税額控除は死亡前の3年間において、贈与を受けた場合は課税対象となるのですが、贈与税と相続税の二重払いを避けるために、贈与税額控除があります。それ以外に、「未成年者控除」もあるのでお子さんがいる場合はきちんと申告しましょう。

20歳になるまでの年数×10万円の相続税額が控除されます。10歳の子供が相続を受けた場合は100万円となります。障害のある人は「障害者控除」を受けられるので、10万円(特別障害者なら20万円)×85歳になるまでの年齢数が控除となります。70歳の障害者の場合は、150万円となります。

相続税の控除

相続税の計算方法

さて、控除について分かったところで、相続税の具体的な計算方法についてみていきましょう。相続に関する税率は、以下のように各法定相続人の取得金額によって別れています。

具体的な相続税の計算例

では、相続人が3人(配偶者1人、子供2人)の場合を例にみてみましょう。遺産額が2億円の場合、以下のように計算していきます。

基礎控除額の計算

3,000万円+600万円×3=4,800万円

相続分の課税対象額

2億-4,800万円=1億5,200万円

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

続いて、各相続人にかかる相続税を上記表より計算していきましょう。

各相続人の課税額

配偶者:1億5,200万円÷2=7,600万円

子供2人:1億5,200万円÷4=3,800万円

上記の場合、配偶者は配偶者控除により、相続分が1億6,000万円に満たないので相続税は免除されます。子供2人の相続税は、上記表の税率・控除額を元に以下のように計算していきます。

3,800万円×20%-200万円=560万円(法定相続分に応ずる取得が5,000万円に該当するので、その税率・控除を元に計算)

よって、配偶者は相続税を払う必要はなく、子供2人はそれぞれ560万円ずつ相続税を支払うことになります。

まとめ

いかがでしたか?今回みたように、配偶者控除や、さまざまな条件によって支払うべき相続税は異なってきます。

また、相続前に節税対策をしておくことで、相続税を引き下げることもできるので特に財産が多い方は相続専門の税理士に相談しておくことが重要です。相続税の申告を依頼する税理士によっては、数千万円異なることもあり、相続税額は税理士の腕次第、ということになります。

どのように相続対策を行えば良いのか・どうしたら相続税を節税できるのか、相続専門の税理士に相談してみると良いですよ。