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相続が発生した時、すなわち誰かが亡くなった時、まず行わなければならないのが、遺言書の捜索です。どこかに、故人の意思を示す遺言書が遺されている可能性があります。しかし、必ずしも遺言書があるとは限りません。

遺言書が無い・遺言書が有効でないなどの場合、残された相続人で話し合うことになります。そこで作成するのが遺産分割協議書です。遺産分割協議書には、話し合いの結果を記録するという側面があり、相続においては非常に重要な意味を持ちます。

遺産分割協議書はどのような場合に作成するのでしょうか?また、作成しておくとどのようなメリットがあるのでしょう?今回は、遺言分割協議書について詳しくみていきましょう。

遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、相続が発生した後に相続人が集まって協議を行い、その結果を公的な書類として残すものです。これによって、契約書のように、また証明書として遺産分割協議書を利用することができます。

作成は必須ではありませんが、財産のスムーズな分割のため、またトラブル防止のためにも、作成しておいて損はありません。今回は遺産分割協議書を作成するメリットをご紹介していきますが、遺産分割というデリケートな問題をクリアするために必要な書類だと考えて良いでしょう。

協議書はどんなときに作成するのか

遺産分割協議書を作成するのは、相続人が複数人いる場合です。相続人がひとりの場合は、分割の必要がないので作成不要です。遺言書が存在しない・有効でない場合に、すべての相続人が話し合い遺産分割協議書を作成します。

また、例えば財産の一部が不動産や株式としか指定されておらず、不明瞭なケースもあります。その場合も、残りの財産のゆくえをどうするか遺産分割協議書を作成して、分割方法を定める必要があります。

遺産分割協議書を作成するメリット

続いて、遺産分割協議書を作成すると具体的にはどのようなメリットがあるかみていきましょう。

遺産分割協議書メリット1:トラブルを未然に防ぐ

遺産分割協議書は、遺産分割が終わってから作成するものです。つまり、法定相続人の間ですべての遺産に関して合意が取れた事を証明することができるので、実際分割する際にトラブルを防ぐことができるというメリットがあります。

仮に遺産分割協議書を作っておかないと、「やっぱりあの財産も、自分がもらいたい」と後からトラブルになる可能性があります。そんなときに遺産分割協議書があれば、決定した証明となりトラブルを未然に防ぐことができます。

また、遺産分割協議書は全員が同意した上で、正式に作成する書類です。署名押印も必要なもので、遺産分割協議書をしっかり作ればその後はスムーズに分割を進めることができます。

遺産分割協議書メリット2:遺産分割の結果を正確に保存できる

遺産分割協議書を作成することで、相続者全員が合意した遺産分割の内容詳細を書面で正確に保存することができます。仮に、協議を行って話し合いで分割したとしても、遺産分割協議書を作っておかないと証明するものがありません。正確な情報を保存しておくためにも、遺産分割協議書を作成する必要があるのです。

また、例えば株式や貴金属などをを相続して売却しようと考えたとき、本当に相続したものであるか疑われてしまうケースがあります。そんなときにも、遺産分割協議書があれば、自分自身が持ち主であり、売却の権利を持っていることを証明することができるのです。

遺産分割協議書メリット3:相続手続きに使える

相続した財産を受け取る手続き(不動産の名義変更、預貯金の払い戻しなど)の際に、遺産分割協議書が必要となる場合があります。

法務局や銀行は、本人でない人による名義変更に対してとても慎重です。しかし相続の場合、すでに名義人は亡くなっているので、相続者であることを銀行・法務局に証明するために、遺産分割協議書が必要になるのです。
遺産分割の協議

遺産分割協議書の2つの意味

遺産分割協議書を作成する重要性が分かったところで、具体的に遺産分割協議書が意味することを確認していきましょう。遺産分割協議書は、「契約書」と「証明書」の2つの側面から意味を持っています。

遺産分割協議書の意味1:法的拘束力のある「契約書」

先ほどもみたように、遺産分割協議書には「法定相続人全員の同意があったことを証明する」役割があります。契約書の側面を持つ遺産分割協議書を作成することで、「合意していなかった」という合意の不一致を避けることができます。

また、遺産分割協議書には法的拘束力もあります。例えば遺産を勝手に使った人が出た場合、不法な遺産使用として裁判を起こすこともできます。遺産分割協議書の内容通りに遺産の分割が行われる必要があるのです。

法的拘束力のある公的書類の一つとしての意味を持ちます。

遺産分割協議書の意味1:遺産分割の「証明書」

遺産分割協議書には、証明書的としての側面も持ち合わせています。

例えば、不動産を譲り受けることになった場合。不動産を自分の名義にするためには登記を行わなければなりませんが、その場合も遺産分割を受けた証明書として、遺産分割協議書が効力を発揮します。

また、預金を受け取ることになった場合、すでに凍結されている銀行口座が自分のものであることを証明するために、銀行から遺産分割協議書が求められます。このように、公的な証明書の役割を果たすことからも、遺産分割協議書は非常に重要なのです。

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書には以下の内容を順に記載する必要があります。

  • 被相続人の本籍
  • 被相続人の住所
  • 被相続人の名前
  • 被相続人の死亡日
  • 各相続人ごとに何を相続するのか

誰が何を相続するのかをしっかりと記載し、名義人ごとに項目を分けて書いていきます。また、万が一この協議書に記載されていない遺産が出てきた場合には、誰が受け取るかも記載します。

トラブルや改ざんを避けるために、手書きで作成するようにしましょう。また、土地や建物は、登記簿謄本どおりに書かないと法務局で手続きができなくなるので、注意しましょう。

財産を特定できるようにもれなくしっかりと記載し、代償分割をする場合は金額と期限も明記します。最後に日付と相続人全員の住所、氏名、実印を押して完了です。完成した遺産分割協議書は、相続人それぞれが1部ずつ保管しておきます。
遺産分割協議書

まとめ

いかがでしたか?今回は遺産分割協議書について詳しくみていきました。後々の相続人間のトラブルを防止するためにも、遺産分割協議書の作成はとても重要です。

遺産分割協議書は、契約・証明二つの意味を持ち合わせます。また、遺産分割協議書をしっかりと作っておくことで、後々相続税に関して税務署への申告が発生した場合にも、相続税を誰がいくら支払うのかが明らかになります。

遺言に則らずに遺産分割を行う場合は、遺産分割についてしっかりと理解し出来るだけ相続に強い税理士に相談しながら遺産分割協議書を作成するようにしましょう。